ながさわ合唱団のカニエくんは、装丁デザインなどをやっていて橘の詩集もプロデュースしている、という話を7/4のライブの時に聞いた。
「よかったら明日、大江戸博物館でやるポエケットに出展しているので来ませんか?橘はポエトリーリーディングもやりますよ。」

めずらしく予定の入っていなかった翌日の日曜日、私は1人で両国へ向かった。
受付のメガネに
「橘のポエトリーリーディングは何時からですか? 」
と聞くと
「もう終わりました。」
と無表情で言われた。
人と話す時、笑顔は大切だなと感じる。

「ポエケット」とは、詩集のコミケみたいなやつだった。会場は、ブースを借り自主制作詩集を並べた人たちとお客で賑わっていた。

橘の本は売れていた。
きっと凄まじいポエトリーリーディングをしたのだろう。200円から2000円まで幅広い品揃えだった。
私を見つけると、思いもしない来客に橘は珍しく笑顔を見せた。
カニエくんもまた嬉しそうにしてくれた。
笑顔は大事だ。気分が良くなる。

私は、彼らのブースに荷物を置かせてもらい、ポエケットという初めての空間を巡った。
色々な本があるなぁ。本というか、冊子のようなものが多い。
とにかくみな、紙が好きそうだ。
私も紙が好きだ。
毎日の「やることリスト」は紙に書いて線で消していくタイプだし、ユポ紙に記入するために選挙に行っている。

カニエくんが装丁した本はどれも美しかった。カラフルな紙が挟まっていたり、フワフワした紙で覆われていたり、それだけで芸術作品のようだった。

CDを販売しているバンドマンがいた。
彼らはメロディーに乗せて詩を読むようなスタイルのバンドだった。
バンドをやっている私はなんだかホッとしてしまいCDを購入した。
「四角シャボン」というバンドだった。
ヤーチャイカの子にも会った。インディーズポエム即売会でバンドマンに出会うとは思ってもみなかった。
でも、歌詞を重要とするバンドは、ここにいてもおかしくないな、とも思った。
私も今度、歌詞カードをブックレットにしてCD付きでここで売ろう、と思った。
表現は、どの部分をフューチャーするかで出演ステージも変わってくるのだ。
橘は詩集購入者に「ジャージカード」なるものをプレゼントしていた。
名刺大のそれには、橘の中学時代の写真と彼のジャージの切れ端が貼ってあった。
橘は、カニエくんという素敵なパートナーを見つけたのだ。カニエくんも詩を書くが、デザインや広報、人付き合いもしっかりできる人だ。
本当の天才はポンコツなので、そういうことをやってくれる人が必要だ。
天才は生きているうちに良いプロデューサーに出会うか出会わないかで一生が決まる。
ヘンリーダーガーは、出会わなかったので死んでから有名になった。
どちらが良いという訳ではない。とりあえず私も、紙の本が作りたくなった。

今週の始まりは、そんな日曜日だった。
あの日からずっと、雨は降っている。